映画で学ぼう~運命の作品に出会おう~No.3「CAROL」
目次
「CAROL 」
初公開日:2015年11月20日(米国)
監督:トッド・ヘインズ
予告↓↓
1.キャスト
☆ケイト・ブランシェット(キャロル・エアード)
☆ルーニ・マーラ(テレーズ・べリベット)
☆サラ・ポールソン(アビー・ゲーハード)
2.あらすじ
1950年代ニューヨークを舞台にキャロルとテレーズがお互いに惹かれあっていく様子が描かれていくが...登場人物の様々な複雑な思いを豪華キャストがリアルに表現している.映画ではクラシックカーやニューヨークのクリスマスシーズンの様子が移されていて,とても華やか.
原作は,パトリシア・ハイスミスという女性が描いた実話.当時は,同性愛に対して偏見があったため,偽名を使って出版していた.
原作↓↓
映画から学べること
①LGBTとは...
「レズビアン(女性同性愛者)」,「ゲイ(男性同性愛者)」,「バイセクシャル(両性愛者)」,「トランスジェンダー(性別越境)」の頭文字をとって名付けられた.2015年4月「電通ダイバーシティー・ラボ」が全国の約7万人を対象に,LGBTに該当する人は全体の何%であるか調査したところ,全体の7.6%であったそう.これを学校に置き換えるとクラスに2~3人の割合でLGBTが存在するということである.
気を付けるべきこと
日本ではまだ「男は外で働いて,女は家事をする」のようなステレオタイプから抜けられていない状態である.従って,LGBTに対する侮辱的な言葉を言ってしまわないようにどんな言葉が相手を傷つけてしまうのか調べた.
「オネエ」とは身体は男であるが「女らしい」状態であるときに使われる言葉である.自身が使うなら問題はないと考えるが,他人から侮辱的に言われるのは不愉快である.また,同性愛者を侮辱するのに「ホモ」という言葉もある.「ゲイ」という方が一般的であるらしい.欧米では男性だけでなく女性同性愛者のことも「ゲイ」と呼ぶことがある.「レズ」と省略することは,「ホモ」と同じく侮辱的なニュアンスを含まれてしまうので,使わないこと.当事者の間では「ビアン」という言葉がよくつかわれているが,当事者以外が安易に使用するのはあまり良いことではない.両性愛者(バイセクシャル)を「バイ」と省略することについては違和感を覚える当事者は少ないようであるが,人によりけりなので本人に省略してもよいか聞いてみるのが良い.
②同性愛と性同一性障害の違い
同性愛は,「性指向」つまり,恋愛の対象が同性であることをいう.異性を好きになる場合を「異性愛」,男女両方を好きになる場合を「両性愛」という.
一方で,性同一性障害は体の性別と反対に心の性を持つことである.この心の性を専門的には「ジェンダー・アイデンティティ(性同一性)」というが,誰を好きになるかとは関係がない.
例えば,生物学的には女性(生まれたときの身体の性別)で心は男性の場合,性同一性障害である.ただし,男性を好きか,女性を好きかは「性指向」の考え方になるといったことである.
LGBTと自分で認識するとき
自覚するには「なんとなくそうだなと気づく」ことから,「はっきり自分は何々であるとアイデンティティを抱く」まで,様々な段階がある.具体的には,ゲイの場合「自分は男が好きだ」と気づく.世の中で「ゲイ」という言葉があることを知る.自分はゲイだとアイデンティティを持つ.ただ言葉を知ったからと言って,すぐにアイデンティティを持つとは限らず,自分がマイノリティなことに混乱したり,疎外感を感じてしまうことが多い.ある研究によると,ゲイ男性では,平均して13.1歳で「ゲイであることをなんとなく自覚した」,13.8歳で「「同性愛」「ホモセクシャル」という言葉を知った.」,17.0歳で「ゲイであることをはっきり自覚した」というように自覚していくようである.
我々の周りには,性的マイノリティで悩んでいる人が多くいるのだと考える.男らしさ・女らしさの枠組みから外れているとみなされる子供たちは,いじめ被害にあいやすいといわれている.「命のリスペクトホワイトリボンキャンペーン」による調査(2014年)では,LGBTの回答者の約7割が何らかのいじめ被害を経験している.また,職場で
自分はLGBTではないから関係ない,というのではなく自分の子供や職場の人が暮らしやすい環境を作るために一人一人が相手の気持ちを理解する姿勢が大切だと思う.自分には居場所があると感じることが安心につながるのである.
参考:
LGBTの学校生活に関する実態調査(2013年)結果報告書↓↓
③Sarah Paulsonについて
映画に出演しているサラ・ポールソンは自身がレズビアンであることを公開しています.彼女はニューヨークタイムズ紙の取材で,32歳年上のホーランド・テイラーとの交際を語った.
他にも,セクシャルマイノリティを公表しているセレブや芸能人の方が多くいらっしゃいます.
☆滝沢ななえさん
元バレーボール選手で現在はフィットネスのトレーナをされている.
インスタグラム↓↓
インタビューでは,
”自分にしかできないことで社会のためになることをしたいと思いました.”と語っている.
滝沢ななえさんが書かれているブログ↓↓
☆Cara Delevingne
☆kemioさん
④相談窓口やコミュニティ
自分と似たような悩みを持つ人との出会いで孤独感がやわらいだり,どうやって生き抜いているのか知恵を分かち合える.全国の団体を紹介する.
(画像引用元:https://blog.travelcenter.uk/50-years-of-pride-whats-different-about-this-year/)
○スクランブルエッグ(青森)
青森を拠点に,性の多様性やセクシャルマイノリティにつて知ってもらうための活動をしている.
HP;スクランブルエッグ – 青森県で活動するセクシュアルマイノリティ・ボランティアサークル
○岩手レインボー・ネットワーク(岩手)
岩手にゆかりのあるLGBTやインターセックスなどの人々とサポートのためのネットワーク.
情報発信ブログ;岩手レインボー・ネットワークのブログ/ Iwate Rainbow Network's Blog
○性と人権ネットワークESTO(秋田・宮城・東京)
全ての人がその性のありさまに関わらず存在(Est)を尊重(Esteem)されることを願い,人と情報の交流によるネットワークを豊かなものにするために,1998年10月25日に発足した非営利の団体.
○LOUD(東京,中野)
1995年6月に創設され,レズビアンやバイセクシャルの女性をはじめとするセクシャルマイノリティーズの当事者とそれを応援する非当事者が自由に活用できるフリースペース.
○SHIPにじいろキャビン(神奈川)
(1)セクシャルマイノリティの人々が,自分らしく心身ともに健康に暮らせる社会
(2)多様性が尊重される社会の現実
を目指して様々な活動を行っている団体.
HP; http://www2.ship-web.com/Top.html
○特定非営利活動法人PROUD LIFE(名古屋)
多様な性,多様な生き方をサポートする名古屋のNPO法人.
○えひめLGBTセンター虹力スペース(愛媛)
LGBTをはじめ,さまざまなセクシャルマイノリティの仲間たちが気兼ねなく集まれる常設の居場所.
HP; https://www.rainbowpride-ehime.org/
○QWRC(Queer and Women's Resource Center :くぉーく)(大阪)
2003年4月にオープンしたLGBTなどの多様な性を生きる人やその周辺にいる人と,女性のためのリソースセンターである.フェミニズムの視点を重視しながら,多様な性の在り方が当たり前に尊重される社会の実現を目指している.
HP; https://qwrc.jimdofree.com/
大阪市淀川区がLGBT支援宣言を行い,実施している集まりである.LGBTや関心がある人が参加できる.
○FRENS(Fykuoka Rainbow Educational NetworkS: フレンズ)(福岡)
福岡を中心に、24歳以下のLGBTの子ども・若者をサポートするために様々な活動をしている.
HP; https://www.frenslgbtq.com/
○PROUD(香川)
1995年5月に香川県高松市で発足し,性的少数者のQOL向上(メンタルヘルス、家族・友人関係、仕事、法律、教育など)を目的として,性的少数者の立場から,支援,啓発,交流,発信をしている.
○プラウド岡山(岡山)
2か月に1回程度,茶話会をはじめ,様々なイベントを開催している.
HP; https://www.proudokayama.com/
⑤化粧について私が思うこと
私は女性ですが,一切化粧をしません.理由は単純で,めんどくさいから.決して安いとは言えないお金を払って化粧品を購入し,朝に時間を割いて化粧をして帰宅をしたら疲れていても化粧を落として眠る,というのが本当にめんどくさい.しかし,「社会人の大人として化粧をしなさい.」というようなことは耳にします.実際に,何度も「化粧しないの?」と聞かれたこともあります.なぜ,「女性だから」化粧をしなければならないのでしょうか.それに加えて,中学,高校で化粧をすると「化粧なんかしてくるんじゃない」と指導されるにもかかわらず,社会人になったとたんに化粧をしなければならない,という暗黙の了解.学校で化粧の仕方について教えてくれてもいいくらいだと思います.化粧している女性を否定しているわけでは全くありません.化粧は女性の見方でもあると思うからです.
また,女性に化粧をしろというのなら,男性も化粧をしてもいいと思うのです.男性が化粧をすることについて否定的な意見を持つ人もいます.しかし私は,男性だから化粧をしない,女性だから化粧をする,というのではなく,自分に自信を持ちたいから化粧をする,というような社会の雰囲気になればいいのに,と思います.
最後に
この「キャロル」という映画は私が同性愛を知るきっかけであると同時に同性愛を受け入れるきっかけとなりました.人を愛せるということはとても美しいことなのだと,そう感じました.
私は自分の恋愛観についてよくわかっていません.自分の感情について自身でもよくわからないものだと思います.ですが,最近になって様々な芸能人の方が自ら恋愛観について公表していただけるようになり一般の人々が「自分は普通なんだ」と安心できるようになってきました.私もそのうちの一人で,自分について考えるきっかけとなりました.これからもっと自分のセクシャリティについて話しやすい社会になって行くことを願っています.
他にもおすすめの作品
『Call Me by Your Name』
『My Own Private Idaho』
『卍』
参考図書↓↓
最後までお読みいただきありがとうございました🏳🌈🏳🌈🏳🌈